はじめに — 「送迎の壁」が家庭に与える負担

通学・療育・通院…送迎が生活を左右する現実
発達障害や身体的な課題のあるお子さんを育てているご家庭では、毎日の送迎が大きな課題になることが多くあります。学校への通学、療育施設への通所、医療機関への通院など、支援が必要なお子さんの送迎は、健常児の場合と比べて段違いに複雑です。
送迎が困難になる主な理由としては以下のようなものが挙げられます:
健常児であれば、ある程度の年齢になれば一人で通学できるようになりますが、発達障害や知的障害、身体障害のあるお子さんの場合、安全面や対応の必要性から、どの年代でも付き添いが必要となることが少なくありません。また、療育施設は学校と異なる場所にあることが多く、複数の場所への移動を組み合わせて計画する必要があります。
さらに、学校のバスサービスが利用できない地域に住んでいる場合や、バスの乗り降りが困難な状態にある場合は、毎日の通学のためだけに親が大きな時間を割くことになってしまいます。共働きの家庭であれば、仕事の時間調整が必要になり、キャリアや経済面での影響も生じます。
兄弟姉妹がいる場合、下の子の送迎に親が時間を取られてしまい、上の子の習い事や学校行事への対応がおろそかになってしまうというジレンマも、多くの親が抱える課題です。
頼れるサービスを知ることで、家族の負担を減らせる
こうした状況を改善するために、社会的なインフラとして送迎サポートサービスが存在します。福祉タクシー、移動支援事業、療育施設の送迎サービスなど、様々な選択肢があり、それぞれに特徴と利点があります。
これらのサービスについて正しく理解し、自分たちの家庭に合ったものを選ぶことで、以下のようなメリットが生まれます。
親の時間的・心理的負担の軽減
毎日の送迎に追われていた時間を、他の家族との時間や自分自身のケアに充てることができます。介護疲れやストレスから少しでも解放されることで、親としての心理的な余裕も生まれます。
お子さんの自立支援
親以外の大人とのやり取りや、移動経験を通じて、お子さんが少しずつ社会への適応を進めることができます。特に、送迎スタッフがお子さんの支援ニーズを理解している場合、段階的な自立支援につながることもあります。
家計への負担軽減
働き続けることができる親の方を支援することで、間接的に家計の維持や改善につながる場合もあります。また、行政の支援制度を活用すれば、完全な自己負担ではなく、一部補助を受けながら利用することも可能です。
兄弟姉妹への対応改善
上のお子さんの習い事や学校行事にも親が参加できるようになり、家族全体の生活の質が向上します。
ここでは、支援が必要なお子さんの送迎サポートサービスについて、福祉系から民間系まで幅広いサービスをご紹介します。自分たちの家庭に最適なサービスを見つけるための参考にしていただければと思います。
送迎サポートサービスの種類と選び方
支援が必要なお子さんの送迎サービスは、大きく分けて福祉・行政系のサービスと民間サービスの2つのカテゴリーに分かれます。それぞれの特徴と、利用時に確認すべきポイントについて詳しく解説します。
福祉・行政系サービス:安定性と支援の質が特徴
自治体による送迎支援制度
多くの自治体では、支援が必要なお子さんの通学・通所を支援するための制度を用意しています。これらは公的な福祉制度に基づいており、利用条件を満たせば利用できるという点が特徴です。
スクールバス・福祉バス:教育委員会が運営するスクールバスや、社会福祉協議会が運営する福祉バスは、登録地域に住む対象児童に対して安定的な送迎を提供しています。ただし、利用対象地域や対象者が限定されていることが多く、すべての子どもが利用できるわけではありません。
移動支援事業(ガイドヘルパー派遣):障害者手帳を持つお子さんが、学校や療育施設、医療機関などへ外出する際に、移動を支援するヘルパーを派遣するサービスです。自治体の福祉事務所に申請することで利用でき、利用料は自己負担ですが、一定の補助金を受けられる場合もあります。
ヘルパーは移動支援に特化した研修を受けており、障害の特性に応じた対応ができます。また、利用者の状態に応じて細かいニーズに対応することも可能です。
乗降介助付きタクシーチケット:一部の自治体では、福祉タクシーの利用チケットを交付しており、これを使って利用料金の一部をカバーすることができます。
障害福祉サービスを活用した送迎
障害者福祉法に基づく障害福祉サービスの中には、送迎を含むサービスがあります。
放課後等デイサービス:放課後や学校休業日に、支援が必要なお子さんに対して療育を提供するサービスです。多くの施設では利用者の送迎を行っており、学校から直接施設へ、施設から自宅へと、親の手を借りずに移動できます。
施設によって送迎の範囲や時間が異なるため、利用前に確認が必要です。送迎範囲が限定されている施設も多いため、自宅から施設への距離を考慮して選ぶ必要があります。
児童発達支援施設:未就学児を対象とした療育施設で、多くが送迎サービスを備えています。朝の送迎により、親が仕事に出かけやすくなるという大きなメリットがあります。
短期入所(ショートステイ):親が用事や疲労のため、一時的にお子さんを預ける場合、施設への送迎を含むサービスを利用できます。
民間サービス:柔軟性と細やかな対応が強み
福祉タクシー・移動支援タクシー
福祉タクシーは、通常のタクシーに比べてバリアフリー対応しており、車いすに乗ったまま乗車できるなど、身体障害のあるお子さんにも対応しています。
福祉タクシーの特徴:
- 運転手が福祉についての基礎知識を持っており、障害への理解がある
- 車いす固定装置が備えられており、安全な移動が可能
- 通常のタクシーより料金は高めだが、自治体のチケット制度を利用できる場合がある
- 予約制で、目的地までの直行運転ができる
- 乗り降りの際に簡易的な介助を受けられる場合がある
利用にあたっては、利用対象者が身体障害者手帳や療育手帳の保持者に限定されることが多いため、事前確認が必要です。
民間の移動支援サービス・送迎支援事業
民間企業が提供する送迎サービスの中には、福祉タクシーより細かなニーズに対応しているものもあります。
送迎付き支援サービス:習い事や家庭教師の派遣と一緒に送迎を行うサービスがあり、学習支援と同時に移動支援を受けられます。
訪問型支援サービス:児童発達支援事業所や学習塾が、送迎付きでサービスを提供している場合があります。学校から直接施設へ、施設から自宅へと、スムーズに移動できるため、親の手間が大幅に軽減されます。
シッターサービスの移動対応:一部の家事代行・シッターサービスでは、お子さんの送迎を含むサービスを提供しており、習い事への送迎や医療機関への付き添い送迎が可能な場合があります。
療育施設が提供する送迎サービス
療育施設の多くは、利用者を対象とした送迎サービスを備えています。
施設運営の送迎バス:専用のバスまたは車両を所有し、決まったルートで利用者を送迎しています。朝の迎え時間と帰りの送り時間が決まっているため、親は仕事の時間に合わせやすいというメリットがあります。
送迎範囲:送迎範囲は施設によって異なり、施設から半径2km圏内、または指定地域内など、様々な設定があります。事前に自宅が送迎対象地域に含まれるか確認が必須です。
長距離送迎への対応:遠方に住んでいる利用者に対しては、別途料金で送迎を行っている施設もあります。
選ぶときに見るべきポイント
送迎サービスを選ぶにあたって、複数のサービスを比較検討することが重要です。以下のポイントに注目して、家庭に最適なサービスを探しましょう。

安全基準と事故対応
運転手の資格と研修:危険物輸送免許取得者、普通自動車免許以上の資格を持つ者が運転しているか、福祉研修を受けているか確認しましょう。
保険の加入状況:何かあった時のため、損害保険ジャパンなど大手保険会社の対人・対物保険に加入しているか、ドライブレコーダーが搭載されているか等の安全対策を確認してください。
車両の安全装備:チャイルドシート、ジュニアシート、車いす固定装置、シートベルト、ドアロック機構など、お子さんの安全を確保するための装備が揃っているか確認します。
緊急時の対応手順:事故や緊急事態が発生した場合の連絡体制、対応手順が明確に定められているか確認しましょう。
スタッフの資格と対応能力
障害福祉の知識:移動支援従事者養成研修修了者、介護福祉士、社会福祉士などの資格を持つスタッフが対応しているか確認します。
お子さんへの対応経験:発達障害、自閉症スペクトラム、ダウン症など、特定の障害に対する対応経験が豊富なスタッフの配置を確認しましょう。
コミュニケーション能力:お子さんの気持ちや要望を理解し、適切に対応できるスタッフがいるかどうかが、安定した利用につながります。
料金体系の透明性
基本料金:30分当たり、1時間当たり、移動距離当たりなど、料金の計算方法を確認します。
待機時間の料金:医療機関受診時など、施設内での待機時間が発生する場合、料金がかかるかどうか確認が必要です。
月額定期利用割引:週に複数回利用する場合、月額定期利用割引の有無と割引率を確認します。
キャンセル料金:利用直前のキャンセルにキャンセル料金がかかるか、24時間以内のキャンセルの場合はどうか、等を確認しましょう。
自治体補助との組み合わせ:移動支援事業や福祉タクシーチケットなど、自治体の補助を利用できるかどうかを確認します。
送迎可能な範囲と時間
地理的な送迎範囲:自宅から学校、療育施設、医療機関などへの送迎がサービス対応地域に含まれるか確認します。
対応時間帯:朝の登校時間、帰校時間、日中の移動、夜間の利用など、必要な時間帯に対応しているか確認しましょう。
柔軟な対応:固定的なスケジュール以外に、臨時の送迎に対応してもらえるかどうかの確認も重要です。
利用者の満足度と評判
口コミサイトでの評価:Google口コミ、くちこみランキングなど、実際の利用者からの評判を確認しましょう。
知人からの紹介:親の会や支援学校での繋がりなど、信頼できる人からの情報も参考になります。
体験利用の有無:試し利用や体験利用ができるサービスを選ぶことで、実際の対応や相性を確認してから本利用を決められます。
代表的な送迎サポートサービス比較
みんなのタクシー(福祉タクシー対応型)
サービスの特徴
全国で福祉タクシーサービスを提供している大手企業のグループです。身体障害者手帳や療育手帳を持つ利用者に対して、バリアフリー対応の車両での送迎を行っています。
料金体系
- 基本料金:初乗り500円〜700円(地域による変動あり)
- 走行距離:300m当たり100円程度
- 自治体チケット:多くの自治体と提携しており、チケット利用で一部費用がカバーされる
- 月額定期利用割引:週2回以上の利用で10-15%の割引
子どもの送迎への対応
運転手は福祉タクシー特別研修を修了しており、障害を持つお子さんへの理解がある。チャイルドシートやジュニアシートの装備も可能。ただし、身体障害者手帳または療育手帳の保持が利用条件となることが多い。
メリット
- 安定した大手企業による運営
- 全国的なネットワークにより、転居時も継続利用が可能
- 自治体チケットとの組み合わせで負担が軽い
- 24時間予約可能な地域が多い
デメリット
- 対応地域が限定されている場合がある
- 身体障害の対象外となる発達障害単独の場合は利用できない地域もある
- 予約から乗車まで時間がかかることもある
地域の福祉タクシー・移動支援事業者
サービスの特徴
各地域に根ざした福祉タクシー事業者や社会福祉法人による移動支援事業があります。地域に特化したサービスにより、きめ細かい対応が可能な場合が多い。
地域別の代表的な事業者
東京都:東京都福祉タクシー協会加盟事業者、社会福祉法人による移動支援事業所が充実。都内の福祉施設との連携も良好。
大阪府:障害福祉サービスとしての移動支援事業が定着しており、多くの事業所が対応している。
名古屋市:福祉タクシーと並行して、市が認定する移動支援事業者のネットワークが構築されている。
料金体系
- 地域差が大きく、時間制(30分500円〜800円)と距離制(1km当たり100〜200円)の2つの体系がある
- 自治体補助の有無により、実質負担額が大きく異なる
- 長期利用での割引率は事業者によって大きく異なる
メリット
- 地域特性を理解した細かい対応が可能
- スタッフが顔見知りになり、信頼関係が構築しやすい
- 地元の福祉施設や学校との連携があり、スムーズな利用が可能
- 料金交渉に応じる事業者も多い
デメリット
- 事業者によってサービス品質にばらつきがある
- 対応可能な時間帯が限定されていることがある
- 小規模事業者の場合、スタッフ不足で予約がいっぱいになることもある
療育施設の送迎サービス(併設型の特徴)
サービスの特徴
放課後等デイサービスや児童発達支援施設の多くは、利用者向けの送迎サービスを無料または低額で提供しています。施設による送迎は、スタッフが利用者の状態をよく理解しており、安心度が高いという特徴があります。
送迎範囲と時間
- 朝の送迎:学校への登校時間に合わせて、自宅から学校へ、または学校から施設へ
- 帰りの送迎:施設から自宅へ、または学校から施設を経由して自宅へ
- 送迎範囲:施設から半径2km以内、または指定エリア内に限定していることが多い
料金
- 多くの施設では、利用料金に送迎費用が含まれている
- 送迎範囲外からの利用の場合、別途送迎料金がかかることもある
- 緊急時の臨時送迎には追加料金がかかる場合がある
スタッフの対応
療育施設のスタッフは、その利用者の特性を十分に理解しており、移乗時の介助、問題行動への対応、コミュニケーションなど、細やかな配慮ができます。
メリット
- 利用者の状態をよく理解しているスタッフによる送迎
- 親が仕事に集中できる時間が確保しやすい
- 療育と送迎がセットになっており、総合的な支援が受けられる
- 利用料金に含まれているため、追加費用が少ない
デメリット
- 施設の指定時間での送迎のみで、柔軟性に欠ける
- 送迎範囲外の場合は利用できない、または追加料金が高くなる
- 施設が休みの日には送迎が利用できない
利用時の注意点と安心のためのチェックリスト

支援が必要なお子さんの送迎サービスを安心して利用するために、契約前から利用中にかけて確認すべき項目と、実際の利用経験から得られた知見をご紹介します。
契約前に確認したい項目
保険と責任関係
損害保険の加入確認:対人・対物・人身傷害保険の加入状況を書面で確認しましょう。補償額が十分であるかも確認が必要です。
利用者側の過失による損害:万が一、お子さんが車内で他人の荷物を破損させた場合など、利用者側に責任がある場合の扱いを確認します。
重大事故時の対応:事故が発生した場合の連絡体制、病院への搬送手順、親への連絡タイミングなどを事前に確認しましょう。
規約への署名:契約時に提示される利用規約を十分に読み、内容に納得してから署名することが重要です。
送迎範囲と対応可能な時間帯
具体的な送迎地点:「自宅」「学校」「施設」など、具体的な送迎地点がどこであるかを確認します。複数の場所への送迎が必要な場合は、その順序と所要時間も確認しましょう。
対応不可となる地点:送迎範囲外の地点への送迎が可能か、可能な場合は追加料金がいくらか確認します。
朝と帰りの時間設定:学校の登校時間、施設の開始時間に合わせた送迎が可能か、また帰りの時間帯で複数の選択肢があるか確認しましょう。
急な時間変更への対応:学校が早い時間に下校になった場合など、予定が変わった時の対応が可能か確認します。
待機時間と追加料金
医療機関受診時の待機:病院の診察に付き添う場合、車内での待機時間に料金がかかるか、また待機時間の上限があるか確認します。
施設迎車での待機:お子さんが施設から出てくるまでの待機時間の扱いを確認しましょう。
延長送迎の料金:予定時間を超過した場合の料金計算方法を明確にしておくことが重要です。
キャンセルと振替の条件
キャンセル料金の発生基準:利用日の何日前までは無料キャンセルが可能か、24時間以内のキャンセルはどうか、当日キャンセルの場合はどうか確認します。
体調不良による欠席:急な発熱など、やむを得ない理由による欠席の場合、キャンセル料金がかかるか確認しましょう。
月単位での利用調整:月に指定回数を利用する契約の場合、月内での調整が可能か確認します。
スタッフの情報開示
定期的なスタッフ配置:毎回同じスタッフが来るのか、複数のスタッフが交代するのか確認します。毎回同じスタッフであれば、信頼関係の構築が容易です。
スタッフ変更の理由と事前通知:スタッフが変わる場合、事前に通知してもらえるかどうか確認しましょう。
新しいスタッフの教育:新しいスタッフが配置される場合、お子さんの特性について十分な引き継ぎがなされるか確認します。
実際に使ってわかったこと・口コミを活かすコツ
初回利用時に確認すべきこと
打ち合わせの充実:初回利用前に、お子さんの特性、注意点、コミュニケーションの方法などについて、充分な打ち合わせができているか確認しましょう。詳細な「引き継ぎ票」を作成し、スタッフに提供することが有効です。
試験的な短時間利用:可能であれば、本格的な利用前に短時間の試験利用を行い、お子さんとスタッフの相性、対応の質を確認することをお勧めします。
親の同乗:初回は親が同乗し、スタッフの対応ぶりを直接確認することで、安心感が得られます。
利用継続時の工夫
定期的なコミュニケーション:毎回の利用後、スタッフからその日の状況報告を受けることで、お子さんの様子がわかり、信頼関係も深まります。
記録の確認:施設送迎の場合、施設で記録されたお子さんの様子や気付きを確認しましょう。
フィードバックの提供:親側の要望や、お子さんの変化に気付いたことをスタッフに伝え、より良い対応に繋げていくことが大切です。
口コミを評価するときのポイント
利用環境の類似性:地理的条件、お子さんの年齢や障害特性が似ている利用者からの口コミが参考になります。
複数の口コミの比較:1つの口コミだけに依存せず、複数の口コミから共通の課題や利点を抽出しましょう。
低い評価への対応:低い評価が寄せられているサービスの場合、その理由をサービス提供者がどのように改善しようとしているか確認することが重要です。
時期性の確認:古い口コミより、最近数ヶ月の口コミの方が、現在のサービス水準を反映しています。
実利用者からよく聞かれる課題と対策
スタッフの対応のばらつき:複数のスタッフが対応する場合、スタッフによって対応の質にばらつきが出ることがあります。定期的なスタッフ固定化や、詳細な対応マニュアルの作成を依頼することで改善できます。
予約の取りづらさ:人気のあるサービスでは、予約がなかなか取れないことがあります。複数のサービスを並行利用したり、キャンセル待ちの仕組みを活用したりすることで対策できます。
送迎時間の融通性:決まった時間での送迎のみで、時間の融通が利かないことがあります。契約時に時間帯の選択肢の多さを確認し、月単位での時間変更が可能かどうかを確認しましょう。
お子さんの気分による拒否:朝、送迎の車に乗ることを拒否するお子さんもいます。スタッフへの信頼関係が高まることで、通常は改善していきます。また、送迎スタッフと学校の連携を強化し、学校側からのアプローチも組み合わせることが効果的です。
兄弟姉妹の送迎への対応:一人のお子さんだけでなく、兄弟姉妹も同時に送迎してもらいたい場合があります。対応可能なサービスもありますが、追加料金が必要になることがほとんどです。
まとめ — 「送迎を任せる」ことで広がる家族の時間
送迎の課題は「家族全体の課題」
支援が必要なお子さんの送迎は、単なる「移動の手段」ではなく、親の人生設計や家族の生活の質に大きな影響を与える問題です。毎日の送迎に時間と心を奪われることで、親自身の心身が疲弊し、兄弟姉妹への対応がおろそかになったり、仕事のキャリアが制限されたりすることもあります。
しかし、だからこそ社会的なインフラとして様々な送迎サポートサービスが存在するのです。福祉制度や民間サービスを上手に活用することは、お子さんの自立支援につながるとともに、親のウェルビーイングを守ることにもなります。
自分たちに合ったサービスを見つけることの大切さ
送迎サービスを選ぶ際に最も重要なのは、「価格だけで判断しない」ことです。安いサービスでも、対応の質が低ければ、逆にストレスが増えてしまいます。一方、高いサービスなら必ず満足できるとも限りません。
大切なのは、以下のような複数の視点でサービスを総合的に評価することです:
安全性と信頼性:運転手やスタッフの資格、保険の加入状況、事故対応の体制など、お子さんの命と安全に関わる要素を最優先に考えましょう。
対応能力:スタッフがお子さんの障害特性を理解し、適切に対応できるかどうか。同じ障害でも個人差が大きいため、実際の対応を見学・体験してから利用を決めることをお勧めします。
利便性と柔軟性:送迎範囲、対応時間帯、突発的な対応の可否など、家庭の実際のニーズに合致しているかどうかを確認しましょう。
料金と支援制度:自治体の補助制度を活用すれば、実質負担額を大幅に削減できることもあります。複数のサービスを組み合わせることで、より効率的な支援体制を構築することも可能です。
人間関係とコミュニケーション:スタッフとの信頼関係、親とスタッフ間での情報共有、施設との連携など、人間関係の質が長期的な利用の満足度に大きく影響します。
複数のサービスの組み合わせという選択肢
毎日のスクールバスが完全に対応しない家庭の場合、複数のサービスを組み合わせることで、より柔軟な支援体制を作ることができます。
例えば、以下のような組み合わせが考えられます:
平日の学校送迎は行政系サービス、休日や通院は民間タクシー。行政系サービスは安定していますが対応範囲が限定されていることが多いため、臨時的な需要は民間サービスでカバーするという方法です。
定期的な通所先の送迎は施設のサービス、その他の移動は移動支援事業。療育施設などのメイン利用先は施設送迎を使い、学校への移動や医療機関への通院などはガイドヘルパーを利用するという方法です。
兄弟姉妹の送迎を分ける。一人のお子さんは施設送迎を利用し、もう一人のお子さんの習い事への送迎は別のサービスを利用するなど、効率的な運用が可能です。
親のセルフケアとしての送迎サービス利用
送迎サービスを利用することは、単に「子どものため」ではなく、「親のため」でもあります。介護者である親が心身の余裕を持つことは、結果としてお子さんへの対応の質を高めることにもなるのです。
毎日の送迎に追われることで、親自身が疲弊し、イライラが溜まってしまっては、家族の雰囲気全体が悪くなってしまいます。逆に、親に心の余裕があれば、お子さんの些細な変化に気付き、より良い対応ができるようになります。
また、親が自分の時間を持つことで、自分自身のケア(運動、趣味、友人との交流など)ができるようになり、メンタルヘルスも改善されます。親が笑顔でいられる家庭こそが、お子さんにとって最良の環境なのです。
情報収集と相談の重要性
送迎サービスについての正確な情報は、地域によって大きく異なります。自治体の福祉事務所、児童発達支援施設、支援学校、親の会など、複数の情報源から情報を集めることで、より良い選択が可能になります。
福祉事務所への相談:移動支援事業の対象となるかどうか、利用可能な施設はどこか、自治体の補助制度にはどんなものがあるかなど、公的な情報を得られます。
支援学校の特別支援教室:学校側は、多くの利用者の送迎状況を把握しており、効果的な方法や利用可能なサービスについてのアドバイスをもらえることがあります。
親の会や保護者ネットワーク:同じ悩みを持つ親たちから、実際の利用経験に基づいた情報が得られます。特に、サービス選びの失敗例や成功例は、意思決定の大きな参考になります。
ケアマネジャーやコーディネーター:障害児支援の専門家に相談することで、家庭の状況に最適なサービス組み合わせについてのアドバイスが得られます。
最後に:完璧な送迎体制を求めないこと
支援が必要なお子さんの送迎について、「完璧な解決策」は今のところ存在しないです。どのサービスにも、何らかの制約や課題があります。重要なのは、家庭の状況において、「今できる最適な選択肢を選ぶ」ことです。
また、お子さんの成長段階に応じて、必要な支援も変わっていきます。小学校低学年では毎日の送迎が必要でも、高学年や中学生になるにつれて、自立した移動が可能になることもあります。そのため、定期的にサービスを見直し、より適切な選択肢へと切り替えていくことが大切です。
何らかの課題が生じた場合は、それを「失敗」ではなく、「さらに最適なサービスを見つけるための情報」として捉えることをお勧めします。試行錯誤の過程を通じて、自分たちの家庭に最も合ったサービス体制が、少しずつ見つかっていきます。
親と子が一緒に成長しながら、家族に最適な支援体制を作り上げていく。その過程で、子どもは親の愛情と支援を感じ、親は子どもの成長を喜ぶことができます。送迎サービスは、そのような家族の関係性を、より良い形へと導くための一つだと思います。
ぜひ、この記事で紹介したサービスの種類や選び方を参考に、あなたの家族に最適な送迎サポートサービスを見つけてください。そして、送迎という課題から解放された時間を、家族との大切な思い出作りや、あなた自身の心身のケアに充てていただきたいと思います。
支援が必要なお子さんを育てることは、大変なことばかりです。情報をこちらからとりに行かなければ知り得ないですが、まだ知られていない、便利なサービスもあります。各自治体に問い合わせてみても有益な情報をくれたりします。社会的なサポートシステムを上手に活用すれば、その負担を大幅に軽減することができますよね。
一人で抱え込まず、利用できるサービスを最大限に活用しながら、家族全体で支え合う環境を作っていけますように☆
長くなりましたが最後まで読んでくれて

